写真に写っている製造月日を見て頂くと判りますが、7月出荷のお酒である。今はもう11月。どれだけ売れ残っているか判って頂けるでしょう。いや売れ残っている訳では無く、お店のマスターが「これはあかんっ!ひねてる!おすすめできない!」っと飲ませてくれないのである。もちろんそう言うのが好きな人にはお断りを入れて飲ませているのですが、山廃やひやおろしが苦手な自分には飲ませてくれないのである。なので、3ヶ月以上も冷蔵庫の隅で眠っていたのです。が、奇特なお客さんのおかげでようやく残りわずかとなり、お店も終わりの時間になり、少量を飲ませて頂く事が出来ました。
確かに「ひねてる!」
が、飲めない事は無い。好きでは無い。酸味にヨーグルト感が出てしまっている。何か肴がほしいが、もう厨房の火も止めているし、お腹もいっぱいなので、どうしよう!と思案しているとチーズを出してくれた。しかもよりによって「ブルーチーズ」。更に賞味期限切れ。が、たかが賞味期限切れである。消費期限なら危ないが、賞味期限なら味が落ちているだけなのだ!そして頂く。
なんてことでしょう!(←劇的ビフォアアフター風に!)このひねた「秋鹿-八反錦-純米槽搾直汲」が劇的に旨く感じるのです。ひねた部分がブルーチーズによって中和されて、その奥に閉まってあった芳醇な旨みが「こんにちわ」して来ました。「やぁ!秋鹿さん。こんにちわ!邪険にしてごめんなさい!3ヶ月以上も無視してゴメンね!」ようやく和解できました。良いお酒です!そしてサポートありがとう!賞味期限切れのブルーチーズ!賞味期限になるまで食べなくてごめんね!
速醸酛とは?
話は変わりますが、ラベルを見ていてふと気になったのですが、「速醸酛」って何?って事でちょっと調べました。
結論から言いますと、酒母を造るための製法のこと。現在行われている酒造の大半はこの製法で造られているという事です。なので表記されていない事が多くそれ以外で造られているもの表記する事が多いですね!
大きく分けて「生酛」「山卸し廃止酛(山廃)」と「速醸酛」の3つ。
その前にまず「酒母」について説明しておきますね。「酒母」とは日本酒を醸造するために、蒸した米・麹・水で良質な酵母を培養したもの。この酵母がアルコール発酵時に発生する雑菌の増殖を防ぎ、美味しいお酒にしてくれるのです。
生酛造り
江戸時代から受け継がれてきている伝統的な方法で、天然の乳酸菌を利用して乳酸を発生させ、雑菌を抑えながら酵母を増やしていく山卸し製法で造ります。酒母造りには極寒の夜から朝にかけて作業をしなければならず、重労働で1番手間暇がかかります。酒母造りに一ヶ月以上を要します。
特徴として…濃厚な旨みとキレのある飲み口を味わえる。
山廃酛造り
技術革新が進み、生酛造りで1番大変な「山卸し」という作業を廃止して、酒母造りが出来るようになりました。「山卸し」を「廃止」で「山廃」酛と呼ばれています。
特徴…力強い味わい、酸度も高い。
速醸酛造り
さらに技術が進歩(明治43年に考案)し、乳酸菌を増殖させる作業を省き、高純度で優良な乳酸をあらかじめ使い、お酒を醸造させる。生酛や山廃酛の半分、約2週間で醸造できる。
特徴…サッパリとした味わい淡麗系のものが多い。
醸造元/秋鹿酒造 有限会社
精米歩合/70%
使用米/八反錦(広島県産)100%
アルコール度数/17度
日本酒度/+10
商品名/秋鹿八反錦70 純米槽搾直汲