天狗舞 冬吟 純米吟醸生酒

天狗舞と言えば「山廃」ってぐらいに山廃らしいお酒を造ってきました。その天狗舞が山廃酛を用いず、速醸酛で醸造。姉さん、事件です!ラベルの霞がかった淡雪のように上品ですっきりした吟醸香と旨味。喉ごしにはきっちりとキレも味わえます。気のせいか山廃の濃醇さがあるように思えてきます。(←まあ純吟で生だしね)

透明なお酒の中の「おり」を、しんしんと舞い降りる雪を演出しているかのように美しい。(←でも勝手に瓶を振ると怒られるので出来ない!)

あらためて説明「山廃酛」と「速醸酛」

酵母を大量に培養するために造られる「酒母(酛-もと-)」この「酛」を造る時に必要になるのが「乳酸」。この「乳酸」が雑菌に弱い酵母を守る役割をしてくれます。その「乳酸」を造る工程の違いが「速醸系【酛】」「生酛系【酛】」に分かれます。

◆速醸酛(そくじょうもと)

酒母を造るとき、麹・掛米・水に市販された純度の高い醸造乳酸を加えるだけで安定した品質の【酛】を造ることが出来ます。*現在、広く使われている製法です。淡麗型のお酒に適している。

◆生酛(きもと)

乳酸が自然の乳酸菌から生まれるのを待つ、昔ながらの製法。室町時代から受け継がれてきた、「半切り桶」という平べったい桶に、麹、蒸し米、水を加え、櫂棒ですりつぶす「酛擦り(山卸し)」を行います。この作業で菌の増殖と絶滅が繰り返され、最後に酵母だけが生きられる乳酸の中で、爆発的に増殖します。この生酛造りには30日近くの時間を要し、作業は一定の低温状態での高度な技が必要とされる。そのため極寒の夜から明け方に掛けての過酷で重労働な作業だったようです。*各種の微生物が作り出す複雑な香味が加わり、濃厚で芳醇なコシの強いお酒になります。

◆山廃酛(やまはいもと)

生酛系酛の一種。麹と蒸し米、水を加え、櫂棒ですりつぶす「酛擦り(山卸し)」が行われていましたが、麹の酵素が米を溶かすと言うことが判り、この「山卸し」の作業を省略した製法。「山卸し」を「廃止」すると言うことで「山廃」と呼ばれています。*これも生酛同様、濃厚で芳醇なお酒になります。

醸造元/株式会社 車多酒造
精米歩合/50%
使用米/五百万石他
アルコール度数/16度
日本酒度/+2

商品名/天狗舞 冬吟 純米吟醸生酒

 

精米歩合80%、大正の鶴。

赤磐雄町米の80%精米。お米を削らずに美味しいものを作ろうと挑戦をする酒蔵さんは尊敬します。おまけに無ろ過生原酒。ノーメイク、原石で見せる事が出来るチカラがすごいですよね!流石は「赤磐雄町米」と言うべきか!!確かに冷酒で頂くと心地よい渋みを感じられます。が、やさしい香りとお米自体のコク、甘み、旨みを確かめられます。喉ごしにキリッとした生原酒感を味わえます。アルコール度数18度もあるのかぁ。ちょっと温めた方がいいのかなぁ。

 

製造元/株式会社 落酒造場
精米歩合/麹米65% 掛米80%
使用米/赤磐雄町100%
アルコール度数/18度
日本酒度/+6

商品名/大正の鶴 純米 限定無ろ過生原酒 精米歩合八十

雁木があればもう何もいらない。

純米無濾過生原酒 雁木-がんぎ- ノ壱

あえて言おう。ジュースであると!
もちろん、生原酒なだけあって、しっかりした芳醇で濃厚な旨みを口に含んだ時に感じますが、酸味も十分あり、喉元を過ぎる時はすうーっと飲めてしまいまう爽快感のある造りになっている。さすが夏酒。もちろん他の雁木もあるが、どれを飲んでも美味しい。どのお酒を買えば良いのか分からない時は雁木を買っておけば良いと思います。飲み会の差し入れやプレゼントに持ってくれば間違いなく人気者です。個人的には「活性にごり発泡純米生原酒」。スパークリングワインのようなシュワシュワでいい。

ちなみに今日飲んだのは「雁木ノ壱」。「ノ弐」もあるようですが、飲んだことがありません。飲んでみたい。飲んでみたいっ。

製造者/八百新酒造 株式会社
精米歩合/60%
使用米/山田錦100%使用
アルコール度数/17度

商品名/純米無濾過生原酒 雁木-がんぎ-ノ壱

ところで雁木の意味はご存じでしょうか?

まぁ知ったところでお酒の味は変わらず美味しいのですが…。「雁木」とは、船着き場の階段のある桟橋のことを指します。そして山口県岩国市にある蔵元「八百新酒造」さんは錦川(今津川)沿いにあり、創業当初からその雁木の船着き場から日本酒の原料米を水揚げしていたそうです。その思いを込めて名付けられ、ロゴマークには上段は階段状の紋、下段は水際を表す波の紋を。この二つを合わせ「雁木」のロゴマークとしたそうです。原点に立ち帰ろうと言う思いを込めて誕生しました。

ずっと昔からあると思っていましたが、歴史は浅く平成12年に新しいスタッフによってスタートしたと言うことです。

僕の名前はルカ。2階に住んでいるんだ。

流輝-るか- 純米無濾過限定生酒を頂く。

まずは味の紹介から…。
香りは抑えめ、微かにフルーティな香り。米の甘みと酸味のバランスは少し酸味が勝っている、ちょっぴり辛口の食中酒です。↓下の写真に「激ウマ」とありますが、少し言い過ぎです。「ふつウマ」です。普通にうまいです。まあどんなに自信があっても、蔵元さんが自分たちのお酒にこんなキャッチーなフレーズは使いません。よね?

お酒の販売店が造ったお酒。

それはこの流輝が「特注限定品」だからです。他の言い方で言えば「選別」、あるいは「PB-プライベートブランド-酒」。これは酒屋さんとかが自分の店だけで出すお酒を酒蔵さんにお願いして造るお酒のことです。酒屋さんがこんな感じのものがほしい!」とお願いして造ります。まぁ酒屋さんが一番消費者の求めているものが分かるポジションですからね。米の選定、精米歩合から決めて作っているものもあり、場合によっては米の栽培から行っているところもあるそうです。

こんな「もどき」が作ったお酒美味しいの?と思われますが、作っているのは農家であったり、酒蔵のプロフェッショナルが作っているので、普通に美味しいのです。おまけに中間マージンがなくなるので安く買うことが出来ます。最近はスーパーなどでよく見かけますよね。イオンで言う「トップバリュー」、イズミヤの「スタイルワン」等々。安くて美味しく飲めるなら、どんどんやってもらいたいです。*場合によってはこだわりすぎて普通より高くなっていることも、無きにしも非ず。

*タイトルの「僕の名前はルカ」はスザンヌ・ベガの1987年のヒット曲「Luka」の歌詞を訳したものです。

製造者/松尾酒造 株式会社
精米歩合/60%
使用米/山田錦13% 玉栄87%
アルコール度数/16度

商品名/流輝-ルカ− 限定純米無濾過生酒