麒麟 純米大吟醸 無濾過袋取り ひやおろし

純米大吟醸をひやおろしにして飲む。

純米大吟醸と言えば、フルーティ、ジューシー、フレッシュなどのイメージを勝手にもっています。それをひと夏寝かせてから飲むってどうなのか?まだ日本酒が苦手だった頃、純米大吟醸だけは美味しく飲めました。今では逆に純米酒の方が好きになってしまっており、大吟醸とは少し距離をとっていました。そこで出会った「麒麟-きりん-純米大吟醸 無濾過袋取り ひやおろし」。

嗅ぐ香りは意外とない。口に含んだ時に果実香もあまりなく、米の旨み、コクは濃厚にあり。ノド越しにはキレを感じます。ただ、個人的に言わせて頂ければ、寝かさなくてもいいんじゃないの!?ってところです。大吟醸はやっぱりフルーティであってほしい。

袋取りってなに?

別名「袋吊り」「斗瓶取り」「しずく搾り」とも呼ばれています。

本来はお酒を搾るために醪を袋に詰め、槽(ふね)と呼ばれる搾り器で「あらばしり」「中取り」「責め」の段階別に搾ります。それとは別に大吟醸のような贅沢なお酒を作るために「酒」を「し」、ゆっくり自然に滴り落ちる滴をタンクで受けて、貯蔵保管する方法です。この方法で出来たお酒は別名「雫酒-しずくさけ-」とも呼ばれ、品評会などに用いられるお酒になります。

 

醸造元/下越酒造 株式会社
精米歩合/50%
使用米/新潟県産五百万石100%
アルコール度数/16度

商品名/麒麟 純米大吟醸 無濾過袋取り ひやおろし

早瀬浦 特別純米酒限定品 夜長月

ネーミングセンスが詩人。

だれが名付けたのだろう。早瀬浦はいいとして。「夜長月」←もともとある言葉なのですが、「よながつき」と読みます。

秋に差し掛かり徐々に夜が長くなり始める季節。

↑ 説明までいちいち詩人です。「長月」と同じ意味で旧暦の九月の意。それだけでなく、「ひと夏越え」←ひやおろしのことです。春に搾ったお酒を火入れしたものを外気温と同じなる時期、秋の初めに火入れせずに「ひや」で「卸す」ことです。たしかにひと夏を超えたお酒です。が、いちいちかっこええ言い方。ラベルもシックな色使いで大人の男の佇まいです。

口に含んだ時に甘い香り、コクもある。ただ、ノドもとを過ぎる時はかなりぴりっとしている辛口酒。全体的には辛口のイメージで終わる。これは好きな味だ。ひやおろし界のオアシスだ。長くなる夜、深まる晩秋にかけて、旬の食材とともに、月を愛でながら、じっくりと味わいたいものだ。←コピーパクった。

醸造元/三宅彦右衛門 有限会社
精米歩合/55%
使用米/美浜町新庄地区産山田錦100%
アルコール度数/16度

商品名/早瀬浦 特別純米酒 夜長月

 

乾坤一と書いて「いぬいしんいち」と呼ぼう

言葉で伝わらない表現

「まろやかで喉元が潤う感じ」←を紙で言うところの「コート紙-つや有り-」としよう。その反対として「マット紙-つや消し-」がある。この乾坤一はそのマットなノド越しが感じられる。これはネガティブな意味では無く、他の言い方をすれば、「ドライな感じ」と表現すればいいのか。

それでは改めて乾坤一の味を表現させていただきます。ゴホンッ。

香りは結構あり、果実の香り。口に含むと旨味、甘味、酸味のバランス良い飲み口。ノド越しにかなりのキレを感じます。そして飲み終わった後、口の中がマットなつや消し感覚が残ります。←これは僕だけなのかなぁ。もちろん嫌な感覚で無く食事もすすむ、いいお酒です。お店に置いてあると必ず頼むお酒です。

さて「乾坤一」と書いてなんと読むかご存じでしょうか?そうです。「いぬいしんいち」です。お店の方に「いぬいしんいち」と頼むと、まぁ何も言わずに出してくれますが、お客さんの中には失笑する方もおられます。コイツお酒の銘柄もわからんのか、ぷっ! と。そうです。正式名は「けんこんいち」なのです。

乾坤一と書いて「けんこんいち」と読む。

が、あえて「いぬいしんいち」と叫び続けています。沢田研二をジュリー、仲井戸麗一をチャボと言うように、乾坤一をいぬいしんいちと読んでもいいのではないでしょうか!宿敵と書いて「ライバル」、あいつと書いて「憎いあんちくしょう!」と読んでいるように乾坤一と書いて「いぬいしんいち」と呼んでいいのではないでしょうか!ありがとございました。

乾坤一、名前の由来とは

まじめな話。乾坤一の名前の意味は元となる四文字熟語「乾坤一擲-けんこんいってき-」の運を天に任せて大勝負をすること。天下をかけて一度のさいころを投じると言う意味。その「乾坤一擲」から名付けられているのですが、少し意味は違うそうです。

明治3年、初代県知事の松平正直さんが、蔵元へ来られ「乾坤一擲」の言葉から引用し「乾坤一」とし、「地上と宇宙で一番美味しいお酒。いた土地に様がくれた一滴」と言う意味で名付けられたと言うのが名前誕生の経緯です。

醸造元/有限会社 大沼酒造店
精米歩合/50%
使用米/山田錦100%
アルコール度数/17度

商品名/乾坤一(けんこんいち)純米吟醸生詰原酒 一火入

里芋と豚肉ときのこ煮三つ葉添え

三つ葉のさわやかな香りがアクセントになっています。きのこと豚肉がいい出汁を出して里芋をさらに美味しく引き立てています。

千代むすび 純米吟醸 強力50 氷温熟成

ひやおろし最強の強力米。

もしどこかの居酒屋さん、酒屋さんで「強力」と言う名のお米の表記を見つけたら、一度は飲んでみてください。不安な方は誰かが頼んだものを一口もらってみてください。「ガツン」とやられます。濃厚であり、芳醇であり、酸味もぐっときます。アルコール度数が15度って書いてあっても18度くらいあるんちゃう?ってぐらい、濃厚です。とろみます。色も琥珀色をして古酒のようです。どんなアテであろうが負けることは無いです。この季節なら脂ののった焼き秋刀魚なんかぴったりかも。逆に油っぽいものや濃厚な味付けのものじゃ無いとアテ負けしてしまいそう。

なので…

◆やわらか酢豚の黒酢仕立て

甘辛く下ごしらえした肉(たぶん三枚肉辺りの肉?)を使って素揚げした豚肉に黒酢を絡めて炒めたもの。黒酢のつーんとした酸味と甘辛さのフュージョン。めっちゃ柔らかい豚肉と表面が少しカリッと揚げた食感がなんとも言えない感じで楽しめます。唇で噛めるぐらい柔らかです。

そして黒酢にも負けない「強力」で調和を図る。黒酢により濃厚さがマイルドになり、味が変化、一杯で2度楽しめる。トマトで再び口の中をリセットし、再び、「濃厚&芳醇」を楽しむ。

◆赤鶏ささみときのこ5種汁

5種を覚えていないが写真から推察するとキクラゲ、シメジ、えのきだけ、なめこ、えりんぎ?かなぁ。分かりません。で、やっぱり秋はきのこですね。具だくさんです。これだけでお腹いっぱいになります。しっかりだし汁にきのこのエキスが出ています。食感もシャキシャキ、ニュルニュルです。

さて、またまた謎の言葉が使われています。

氷温熟成って何?

「氷温」とは食品にはそれぞれの凍る温度(氷結点)があり、0℃から氷結点のあいだの域を「氷温域」と呼び、この氷温域で食品の貯蔵や加工を行うと様々なプラス効果があるのだそうです。

みじかなところでは採取した白菜や大根を雪の下などに貯蔵しておくと何とか凍らないように自己防衛能力でアミノ酸や糖類を蓄えようとし、それが甘みや旨みとなって出てくるって理論ですね。

千代むすび酒造さんではマイナス4℃の環境を作り、熱い夏の間、じっくり長期低温発酵させることでより深く強力米の旨みを引き出す製法を生み出しました。これも力強い「強力米」だからできる業なのでしょうね。

醸造元/千代むすび酒造 株式会社
精米歩合/50%
使用米/強力米100%
アルコール度数/15度

商品名/千代むすび 純米吟醸 強力50 氷温ひやおろし

復活の「強力米」

強力米が地元に根付くまでのエピソードがあります。お時間があれば是非、読んでみてください。

山根酒造場さんのHP→http://hiokizakura.sakura.ne.jp/maboroshi.html

中川酒造さんのHP→http://www.gohriki.com/gohriki_p2.html

ひやおろしの季節がやって来た。

特別純米ひやおろし 石鎚(いしづち)

写真を見ていただけると分かると思いますが、お酒の色が少し琥珀色です。古酒とまではいいませんが、半年ほど寝かしたお酒です。山廃や生酛のように少し樽の香りがし、寝かした分、濃厚になります。ところがこの「石鎚ひやおろし」はバランスがとれたお酒になっています。樽の香りはほとんどせず、生酛のような渋みも無く、芳醇なコクと酸味が感じられる引き締まった辛口酒である。バランスがいいので口当たりもよく、ひやおろしらしい旨味が感じられます。石鎚と言えば「食中酒」ですが、まさに食事に合うお酒です。

「ひやおろし」の説明を少し…。昔は冬の間に仕込まれた新酒が劣化しないように春先に火入れ(加熱殺菌)をした上で大桶に貯蔵し、夏の間に熟成させて丁度良い頃合いに、2度目の加熱殺菌を「しない」、「冷や」のまま樽に「卸(おろ)し」て出荷したことから「冷や卸し」と呼ばれています。

まあ今の技術があればこんな事をしなくても美味しいお酒は造れるのですが、昔はお酒の劣化を防ぐためでしたが、今は「熟成」という目的に変わって来てるのでしょうね。そして長年続けてきたため伝統というか慣習になって作り続けているのでしょうか?ボジョレーヌーボのようなものか?いやこれは新酒でしたね。とにかく「ひやおろし」を待っているお酒好きがいる限り「ひやおろし」はこの季節にやってきます。

そう言えば最近は「秋上がり」という言葉もありますね。

「秋上がり」はお酒の質を表す言葉で、ひやおろし製法で美味しく出来上がったものを「秋上がり」といいます。美味しく出来上がらなかったものを「秋落ち」と言うそうですが、そんなお酒を売るわけ無いのでまず瓶詰めされたものを見ることはないでしょう。

でもちょっと飲み比べてみたいです。

製造者/石鎚酒造 株式会社
容量/1,800ml
精米歩合/備前雄町60%(麹米)、松山三井60%(掛米)
使用米/備前雄町29%使用、松山三井71%
アルコール度数/16〜17度

商品名/石鎚 特別純米 ひやおろし 槽搾り

ところで「宇 宙 輝 徳 威」って何?