感動の一言に尽きる
驚いた。まさかこの時期にこの味に出会えるなんて!なにしろこの季節、「ひやおろし」が幅を利かせいるので、熟成、芳醇、などのキーワードのお酒ばかりを飲んでいる。それがどうですか!新米の新酒のような味なのですよ!
シュワシュワで、辛口。フレッシュ感たっぷり、ノド越しキレキレ。米の甘み旨みもたっぷり感じるが、芳醇ではない。そう、芳醇ではないのだよ!涙。嬉しー。美味しー。しかも純米酒ですよ!純米吟醸や無濾過生原酒とかでも何でも無いやつでこんだけ美味しいなんて。まさしく特別純米です。
四季醸造の進化
それは廣木酒造さんの通年商品であるからです。安定した技術と設備が整っている蔵元さんだから出来る事なのです。本来、四季醸造とは春夏秋冬、その季節に合わせた酒造りをする事でした。が、近年では単純に、一年中酒造りが行われることを指すようです。四季醸造で有名どころは旭酒造さんの「獺祭-だっさい-」や、奈良の油長酒造の「風の森」なども有名ですね。美味しいですね。
江戸初期までの「四季醸造」
新酒(しんしゅ) 前年に収穫した古米で旧暦の八月(今の9月頃)に造るお酒。 |
間酒(あいしゅ) 初秋に造るお酒。9月下旬の残暑が厳しい季節ですが、乳酸菌の発酵が容易だったなどのメリット。ただ臭いはすごかったらしい。もちろん古米。 |
寒前酒(かんまえさけ) 晩秋に造るお酒。いわゆる新酒と呼ばれているもの。今年獲れたお米で造り、11月下旬から12月にかけて卸されるお酒。フレッシュ感のあるお酒が主流。 |
寒酒(かんしゅ) 冬場に造るお酒。今の主流の造り方。 |
春酒(はるざけ) 春先に造る酒。気候が暖かくなっているので、浸漬(米を水に浸す)する時間を短くすることが出来た。発酵の進み具合の調節に工夫がいたようです。 |
幕府は米相場や食糧事情により酒造統制で寒酒以外を規制した。米が余り始めると、再び規制緩和し、「勝手造りの令」などによって四季醸造を解禁した。(いつの時代も政府はいい加減なもんです。)その後、いろいろあり、蔵元は不安定な四季醸造は造らなくなり、良いお酒が出来る「寒酒」造りだけが残ることになります。
こうして四季醸造は途絶えてしまいます。そして昭和の工業技術進歩により再び違う形で四季醸造は復活するのです。
そして昭和からの「四季醸造」
一年を通して季節ごとの特徴を活かした酒造りを行うことから、現在は一年を通して同じクオリティーのお酒を造ることを「四季醸造」と呼ぶようになりました。それを可能にしたのが「空調設備」です。外気温に影響されない低温の温度管理を一年通してできれば、冬と同じ環境の酒造りと酒米の管理が可能になります。「四季醸造」がこれからの近代日本酒造りの主流になるかもしれませんね。
そして季節はめぐる。
では、本当に一年中、同じお酒が出回るのかと言うと、そうでもないのです。春夏秋冬と季節の「旬」を愛でる気持ちは無くなりません。だから春には春の、夏には夏のお酒を求め、造られるものです。秋にはひやおろし。そして冬には新米の新酒で新しいお酒が出来たことを祝うのです。蔵元の努力と工夫でお酒の「旬」を造り出します。ほんとうの「四季醸造」とはそういうものなのかもしれません。
醸造元/合資会社 廣木酒造本店
精米歩合/55%
使用米/国産米100%
アルコール度数/16度
商品名/飛露喜 特別純米